『多様なるものの詩学序説』

今年出版された、エドゥアール・グリッサンの翻訳本。Introduction a une poetique du diversが原題だ。原著は1996年にガリマール出版社から刊行された。「多様なるものの詩学」をめぐる四つの講演と、インタビューを併せた、いわばグリッサン詩学の入門書である。

これは、ぼくが初めて触れたグリッサンの本だ。その頃は、学部の授業で部分的に読んだにすぎなかったこともあるのだろう、あまりピンとこなかった。むしろぼくにとってはグリッサンの最初の小説『レザルド川』との出会いが大きかったのである。

とはいえ、この作家を研究するようになってから当然この本には取り組み、おかげで、ある程度グリッサンの考えていることをつかめるようになった。この翻訳は、だから一般的に言って、グリッサンの一見つかみどころのない考え方を包括的に知るための大きな手がかりになるに違いない。

ただ、本としての魅力というと、やはり以前に訳されている『〈関係〉の詩学』や『全-世界論』の方が味読のしがいがある。というのも、基本的には、『多様なるものの詩学序説』は『〈関係〉の詩学』における詩学理論の平易な焼き直しだからだ。

こうした本こそもっと早く日本に紹介されるべきだったに違いない。具体的には、90年代後半にである。その点が少し残念だ。

ところで、友だちからアルフォートの塩キャラメル味をもらった。これがとてもおいしい。ついつい上村先生にもおすそ分けしてしまった(おいしく食べてくれたかな)。アルフォートはあなどれない。

コメント

castorp さんの投稿…
是非読ませていただきます。
わからなくなったら、質問しますね。
omeros さんの投稿…
ありがとうございます。ぼくに分かることがあれば、もちろんお答えします(難しい質問は分かりませんけど……)。ぜひ感想をお聞かせくださいね。以文社の本です。