東松照明展

東京都写真美術館で開催されている、東松照明の写真展「東京曼荼羅」を友だちと見に行った。

東松照明といえば、『長崎11:02』、『太陽の鉛筆』などを代表作とする、日本写真界の「巨人」だ。この「曼荼羅」展シリーズは、東松の長いキャリアを集大成する催しで、沖縄での最初の開催を皮切りに、長崎、京都、愛知、東京と数年間にわたって順次開催されてきた。これらの土地は、すべて東松がこだわって撮り続けてきた場所である。各地で展示されてきた写真には、一切の重複はない。今回の東京展は、この「曼荼羅」展シリーズの締めくくりにあたるものであるという。

おそらくそれだけに「東京曼荼羅」をなす写真は、じつに「多様」である。もちろん基本は東京と関東近郊で撮られた写真を中心に構成されているが、なかには沖永良部島、山口、北海道といった東京から遠く離れた土地の写真も挿入されている。まさに「曼荼羅」だ。

写真の構成が面白い。最初は、50年代の岩波の専属写真家の時期にとった写真が中心だが、途中から日本各地の基地関連の写真に題された「チョコレートとチューンガム」シリーズが長く続き、その後、「さくら」シリーズで完全に東京を飛び越えて、さらに「インターフェイス」シリーズ、「ゴールデン・マッシュルーム」シリーズ、「キャラクターP」シリーズにいたっては、もうほとんど場所の指示性を欠いた写真、「物」を対象にした写真へと突き抜けてゆく。

写真展のポスターは東松本人であったりして、たしかにやや自己言及的な感を与えなくもないが、紛れもなく豊かな写真展だ。曼荼羅シリーズはこれで終わりだということだが、曼荼羅の無限増殖を見てみたい気もする。

それにしても残念なのは、沖縄、長崎の写真展を見逃してしてしまったこと。写真に興味を持ち始めたのはつい最近のことだから仕方ないけれど、できることならタイプスリップして見に行きたいものだ。

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