今福龍太×川田順造 レヴィ=ストロース

今福龍太さんによる『悲しき熱帯』にちなんだ企画展が小さなギャラリーで開催されていた。

昨日はその最終日で、川田順造さんを招き、「『悲しき熱帯』の半世紀」という対談が行なわれた。なんと山口昌男先生もゲストでいらしていた。こんな豪華なメンバーが、改造された小さなマンションの一室に集った。部屋は人であふれんばかり。たくさんの立ち見がでた。

話のメインは川田さんのレヴィ=ストロースをめぐる回想だった。緊密な交流をもっていた川田さんならではのたいへん貴重な話が聞けた。印象に残ったのは、レヴィ=ストロースは好き嫌いが激しかったということ。文化相対主義の立場をとっているが、個人的には、興味のない文化にはまったく興味がなかったらしい。しかも、これは人間関係にもおよび、嫌いな人はこの世にいないものと見なして、その人については一言も発さなかったという。また、ぜんぜんお世辞を言わず、会話のなかで興味が断ち切れたら、完全にだまってしまうのだという。そんな話を聞きながら、レヴィ=ストロースの輪郭が少しずつぼくの頭に立ち現れてきた。

今福さんは今回は完全に聞き役に徹していた(川田先生がよく話されるので)。数日前に韓国に行ってきて、そこで金芝河とルクレジオに会ったという。ルクレジオの最新の本を見せてもらった。一つの本は、エッセイ集で、小津論などが収められている。小津論は、今福さんとの交流から生まれたエッセイの一つ。またもう一つは、副題に「見えない大陸への接近」というタイトルがついた評論。ポリネシアの海洋民のネットワークがカリブ海あたりまでつながっていた、という壮大な話のようで、すごく読んでみたい。数少ない書誌のなかに、グリッサンの詩集『インド』と『関係の詩学』を発見。嬉しかった。

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