マルチニックの少年



いま、大分の大学に集中講義のために滞在している。
この月曜日(2/4)から金曜日(2/8)までの間に、一日3コマ、計5日に渡って教えることになる。
授業は「ポスト植民地における言語・文化・アイデンティティ」と題して、慣れないパワーポイントを用いながら、カリブにおける文化的アイデンティティの模索を、セゼール、ファノン、グリッサンといった仏語圏カリブの代表的著述家の軌跡を辿りながら、考えるというものだ。
さて、今日は『マルチニックの少年』を見せた。これは、二人の友だちを通じて(Oさん、Uくん)手に入れたもの。こうした機会にこのビデオが活用できてとても嬉しい。
この映画は、マルティニックの作家ジョゼフ・ゾベルが、その幼年時代の一時期を回想した自伝的小説を原作にしている。監督は、同じくマルティニック出身のユーザン・パルシー。1930年、「塩の河」と呼ばれる農村地帯の農園で、おばあちゃんと暮らす少年ジョゼが、やがて島の都会フォール=ド=フランスの学校へ行くまでの様々なエピソードを綴ったものである。2時間弱の映画だが、学生たちは飽きもせずによく見ていた。
この映画を見るのは、今回の上映でおそらく五回目くらいになる。前に見たのは二年前くらいになるのだろうか。エピソードやあらすじをけっこう忘れていて愕然とした。
映画の感想を上映後に書いてもらったが、的をそれほどはずしてなくて一安心。みんなの関心は、老人メドゥーズの語りや、この地域の農村の貧しさを生み出している歴史的・社会的背景や、教育格差の問題といったことにあったようだ。なかには映画のなかで果たしている歌や音楽の役割について言及した学生たちもいた。悪くない反応だ。
ところで、ぼくの通っている大学の学食はけっこうおいしい。昨日はココナツ・カレー。今日は親子丼を食べた。明日は何を食べようかな。それが小さな楽しみだったりする。

コメント

和亮 さんの投稿…
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castorp さんの投稿…
学生さんがうらやましいです。
一緒に聞きたいなぁ。
ぼくも来年の異文化コミュニケーション論の授業でポストコロニアルをまとめて話すことにしました。また相談に乗って下さいね。
omeros さんの投稿…
へー、そうなんですか。castorpさんの授業をむしろ受けたいですよ。今度開講日や時間を教えてくださいね。
パワーポイントは、使い方によっては、けっこう役立つことが分かりました。視覚的にアピールできるのがいいですね。
norah-m さんのコメント…
私も去年、授業で『マルチニックの少年』を見せて、飽き飽きするほど見たと思っていたのに、最後の、ベケの息子が引っ立てられていくところで泣いてしまいました。
パワーポイントも、全然知らない学生たちにカリブ海のことをダイレクトに伝えるのに便利なツールですよね。
それにしてもOMEROS先生の授業、受けてみたいなあ。残りの数日、がんばって下さい。
omeros さんの投稿…
norah-mさん、ビデオとても役になっています。ありがとうございます。レオポルド少年がサトウキビの精糖工場で帳簿を盗んだのが見つかって、罰を受けるあの場面、ぼくもすごく胸がいたみます。あの、「マルティニックは苦しい」というような内容の唄がまた島の深い悲しみを表していて、なんともいえませんね。

ところで、最近アップしたブログの写真を見ましたが、とてもいいですね。光と影が美しい。norah-mさんは写真のセンスも光っていますね。
norah-m さんのコメント…
どうもありがとう。一年ぐらい前にさいたま市で撮ったものなんですよ。
ところでハイチ人監督のルムンバ映画も興味深いですね。機会があったら今度私たちにも紹介してくださいね。