森山大道

恵比寿の東京都写真美術館で森山大道の展覧会が開催されている。

森山大道といえば、70年代に「ブレ、ボケ」という写真技術の常識を破った手法で、写真表現を極限まで探究しようとした写真家として有名な人だ。90年代のヒステリック・グラマーの写真集以降は、若い世代にも支持される写真家として、再注目を浴びて現在に至るらしい。写真以外にも、森山の写真を使用した色々なグッズが発売されている。そうしたものが受けているのか分からないが、とにかく発売されている。

今回の写真展は、一部と二部に分かれていて、50年代から近作『ブエノスアイレス』までの回顧展。二部は最新作の『ハワイ』の写真の展示だ。ぼくは一部だけ見た。

森山は写真がうまいだけでなく、文章もうまい。『過去はいつも新しく、未来はいつも懐かしい』、『写真から写真へ/写真との対話』は、何度も読みたくなる。森山の写真論が多角的に語られている本だ。

今回一部の回顧展を見て思ったのが、森山の写真は一個の写真がつねに未完であるということだ。東松照明の写真はその一つ一つが物語として完結する「世界」を築いているのに対して、森山の写真は、一枚一枚の構図の完成度は疑いようがないものの、それぞれの写真と写真との関係性において、彼の写真の特質が浮かび上がってくる、そうした印象を持った。つまり、一枚の写真に立ち止まり、吟味するよりも、展示されている写真をばっと見て、それで印象を掴むほうが良いと言うことだ。その意味では写真集に向いた作家だとも言える。

再び写真集『新宿』を手にとりたくなった。

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