西洋史の耳学問

今日は竹下さんと小田原さんの主催する西洋史研究会に参加。スペイン近世史における「コンベルソ」(ユダヤ教からキリスト教への改宗者を指すスペイン史のテクニカルターム)問題を研究している久木くんの発表、そして竹下さんのカルヴァンについての発表を聴いた。

歴史系の勉強会に普段接することがないので、こうした機会はとても貴重である。何よりも、地道にこつこつと論証を積み上げてゆこうとする発表者の姿勢に感心させられることが多い。

久木くんの発表は面白かった。カトリック教国としてのスペインの統一を背景に、14世紀末から始まるユダヤ人追放と改宗の動きが顕在化し、15世紀から16世紀にかけてこの迫害と追放が激しくなってゆくなか、「コンベルソ」問題を考えるうえで重要なのは、異端審問の制度と「血の純潔」規約であるという。今回は「血の純潔」規約をめぐる発表。これは血や家柄の論理によって、改宗後のユダヤ人とキリスト教徒を区別するというもの。キリスト教社会に新規参入し、社会上昇を果たすコンベルソにたいする、都市貴族たちの反発が引き金であったようだ。色々と詰めてゆかなければならない点もあるように見受けられたけれど、この時代のスペインの物語に触れることができて、個人的には興味深かった。

竹下さんの発表は、カルヴァンについてのもの。用事があって議論に参加せずに失礼してしまったが、たいへん勉強になった。ユマニスムという言葉についての説明がありがたかった。古典的テクストを読み学ぶこと。これが噛み砕いて言った場合のユマニスムの原義らしく、このために、モンテーニュや、カルヴァンや、ラブレーや、あるいは色々な人が、ラテン語を学び、古典の著作を暗誦したりしたという。サイードたちが「人文学」ということで念頭におくのは、ユマニストたちのテクストにたいする読解とその姿勢。テクスト・クリティークの雛形がユマニスムにあるということを知り、とてもためになった。

カルヴァン自体も面白い。翻訳中のテクストを解説してくれたのだが、カトリックとプロテスタントの対立の争点を明示してくれるもので、学ぶことが多かった。

コメント

castorp さんの投稿…
昨日は、お忙しいなかおつきあいくださり、どうもありがとうございました。テクストの読解を通じて「人間性を高める」というユマニスムの精神は、それが形骸化するとつまらないものになりますよね。モンテーニュやカルヴァンのように攻撃的な読みをつねに忘れないようにしたいと思います !
omeros さんの投稿…
コメントのお返事が遅くなり申し訳ありません!!!
ぼくも人文学系の学究として、ユマニスムの精神を心がけてゆきたいと思います。お手本はcastorpさんです!!