なじめない類の翻訳書

某出版社の某叢書のラインナップには、いつも疑問がある。人文系専門書の翻訳叢書だが、とにかく、訳が読みづらいのが多い。もちろん、優れた訳業もあるので、玉石混淆といったところか。

最近出版されたフランス語の翻訳の任意の一節から。「その心理主義的な性格が指摘されているテーマ批評は、固定された形象を越えて「象形文字」が産み出される場である体験された運動に回帰しようとする(……)」。

抽象的思考に慣れていないぼくのような人間にとっては、ほとんど意味不明である。たしかにフランス語は抽象度の高い表現が可能な言語である。しかし、それをそのまま日本語に機械的(?)に訳すだけでは、いたずらに内容を難しくするだけではないのか。専門家が読めば分かるのだろう。おそらく「正確な」翻訳に違いない。しかし、少なくとも、原文から自律していないのは確かだ。はっきりいって、こうした類の翻訳は好きになれない。

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