銀座・森山大道展

銀座の一等地にあるリコーのギャラリーで森山大道氏の個展が開催されている(2009年1月9日~2月1日、無料)。森山氏の初のデジタルカメラ作品展で、彼の写真にしては珍しくカラーが主体である。

「場末」の新宿を銀塩カメラでモノクロで撮るならば、「虚飾の街」銀座はデジタルでカラーと言うことか。それでも、リコーのGRデジタルで撮影された写真は、相変わらず森山氏らしい。たとえば、華やかな人工都市のなかにひそかに感じ取れる生活のにおいや都市にただよう官能性などを感じ取れる写真がいくつもあった。


ただ、やはりデジタルと銀塩では決定的な違いがあるとも感じる。それは現像である。森山氏の現像したモロクロームの写真には光と影のコントラストを強調することでおそらく生じる独特の美しさがあるのだが、デジタルからはそのような美しさは感じられなかった。森山氏の写真は普通一目見て「森山大道の写真だ」と分かるものだが、おそらく今回のデジカメ写真にかぎっては、他の写真家が撮ったものと並置した場合、彼の写真であることを特定することは難しいと思う。

森山の写真論は写真のアマチュアリズムや無名性を強調するものであると記憶する。その意味では、今回のデジタルの写真ほど、無名性に近づいた写真はないのかもしれない。しかし、それは写真にとって、写真表現にとって、幸福なことなのか、あるいは不幸なことなのか。一考の価値のある問いである。

コメント

haru さんのコメント…
こんにちは!写真、かっこいいですね。デジタル写真になったら、あえてブレやボケを出すのは難しいような気がします。機器が変わることで、表現自体、根本的なところで変わる可能性もあるのでしょうか?
omeros さんの投稿…
コメントありがとうございます。
スナップ写真をとるストリートフォトグラファーにとって、原則的には機器は何でも良いのではないかと推測するのですが(もちろんこだわりはあると思いますが)、デジタルカメラと銀塩カメラの違いやその表現の差異については、森山氏の場合は意識されているのだと思います。ただ、基本的には銀塩だろうかデジタルだろうか、ベンヤミンが提示した「芸術と技術」という観点から写真を捉えれば、写真が複製技術時代における産物であるという点では本質的には変わらないとも考えられます。ともあれ、まだちょっと整理がつかないので、宿題にさせてくださいね。
匿名 さんのコメント…
森山氏の場合、銀塩とデジタル云々すら拘ってないと感じますね。使い勝手は気にしても画質面は気にしてないと思うなあ