わがマルティニック

フォール・ド・フランスの芸術センターAtriumを訪れ、視覚芸術家エルヴェ・ブーズ(Herve Beuze)の展覧会「わがマルティニック」を鑑賞する。タイトルから分かるとおり、マルティニックを題材にしたもの。マルティニックを象ったオブジェが様々なマルティニックを表している。「消費」の島、「輸入=輸出」の島(奴隷制度からの歴史も含めて)、「先住民」の島(先住民が残したデッサンを示したメタリックのオブジェ)、「サトウキビ畑」の島、「反抗」の島等々。マルティニックの多面性を愛情と批判精神を込めて視覚的にたいへん印象に残る形で示した、見る価値のある展覧会であると思う。(なお、この展覧会の前の展示は、フィリップ・モンジュ(Phillipe Monges)の写真展「記憶の場所、場所の記憶――奴隷貿易と奴隷制度の痕跡をめぐって」というものだった。こちらも素晴らしい展示だった。現在はグアドループで展示中である。)この展覧会のなかで強烈に印象に残ったのは、植民地工場(Manifacture coloniale)と題された中央の展示であった。黄色いマルティニックの上に、巨大な無数の歯車と無数の赤い手が吊り下げられている。いったい何だろう、と最初は首をかしげていたものの、学芸員の話を聞いて納得。巨大な歯車は、ラム酒蒸留所でよく見かける歯車を表している。昔、労働者が工場で働いている最中に歯車にはさまれ手を切断される事故が度々あった。下にある黄色いマルティニックは、そうした住民の犠牲とラム酒などの利益で豊かになった島を表しているという。写真は、今回のストライキにとくに関わるオブジェ(写真はその一部)。Yo arme nou pa armeは「彼らは武装しているがわれわれは武装していない」という意味。「彼ら」とは権力側のことである。

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