雨の下山

プレ山は活火山である。この山はフランスによる島の占有以降4回の噴火が記録されている。一回目は1792年、2回目は1851年、3回目は1902~1905年、そして一番新しい噴火の記録は1929~1932年である。とくに1902年の噴火は当時島でもっとも栄えていた町サン=ピエールを一夜にして壊滅させたことで人々の記憶のうちに残っている。ぼくたちがたどり着いた山頂は1902年の噴火でできたドームであった。近辺の土に触ってみると地熱を感じた。休憩を終え下山することにしたのは午後3時頃だったと思う。行きに怖い思いをした谷間へと何とか降り、そこから高原へと急坂をのぼるときに恐れていた雨がついに降ってきた。山の天候は変わりやすいとよく言うが、この紋切型を身をもって味わうことになった。雨脚はだんだんと強まり、視界は悪くなり、道は川となる。恐怖である。足取り軽く帰れるはずだったが、全身びしょぬれの足取りの重い下山である。とはいえ、雨が山頂で降りはじめなかったのは本当に幸運であった。さらに、最高峰のLe Chinoisに登るのをあきらめて正解だった。時刻も遅くなりぼくたちも疲れており曇り空になってきていたのであきらめたのだが、もし登っていたら果たして無事に帰ってこれたかどうか(もちろん登山家工藤さん一人なら大丈夫なのだが素人連れだと大変である)。ともかくも豪雨のなかをなんとか下り、中腹に帰還することができた。午後5時過ぎである。無事に下山ができたことに大きな安堵感を得た。

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