I kouwi-monté...

以前書いた記事の文字表記で気にかかることがあり、6月、7月に書いた記事を振り返っていたところ、7月にbanさんのご友人takrankeさんからクレオール語についての質問をいただいていたことに今になって気づいた。さていただいた質問は、クレオール語の動詞連続構文についてである。その場合、品詞は動詞になるのか、あるいは、名詞になるのか、ということだった。コンフィアン氏が授業で示したクレオール語の例文は、I kouwi-monté.....というもので(「彼は走り、上った……」)、品詞は動詞。この後に動詞はいくらでもつけられるようだ。つまり、I kouwi-monté-mangéなどなど(「彼は走り、上り、食べた……)とつけられるようである。たいして、フランス語のなかに出てくる動詞連続構文は、たとえば次の例では、名詞として用いられている。les nécessités immédiates du boire-survivre-manger(manifeste pour les "produits" de haute nécessitéより)(「飲むこと―生き延びること―食べることの直接的必要」)。この文章の書き手は、シャモワゾー、グリッサンをはじめとするマルティニックの知識人たちである。あくまで素人の感想にすぎないが、こうした表現は、意味は簡潔かつ明瞭であるものの、少なくともフランス語の一般的な書き方の規則には従っていないように思える。コンフィアン氏の授業を聞いて、その理由が分かった気がしたのだった。

結局、現在挙げられる例からは、品詞が動詞なのか名詞なのかは判然としない。ここからは推測にすぎないが、クレオール語における動詞連続の使用法は、あくまで動詞として用いられるのではないか。クレオール語はフランス語よりも簡便で、動詞の活用が存在しない。先ほどのI kouwi-montéをフランス語にすれば、Il a couru et est montéとなる。 現在形ならば、I ka kouwi-monté、Il court et monte。フランス語の場合はその活用のせいで動詞を連続させることが難しいのではないか。さすがに、Il courir-monterとはいえないだろう。ただし、動詞や形容詞を名詞化するという用法は存在するので、名詞として使用するのは文法的に許容されるのではないかと考えられる。これはあくまで乏しい用例からの推測に過ぎないため、妥当である保証はまったくない。takrankeさんからいただいた宿題として、いましばらく考えてみたい。

コメント

タクランケ さんのコメント…
ご説明、ありがとうございます。文法的にどのような事情であるのかは、わかりました。おもしろいなとおもったのは、動詞をハイフンでつなぐということ。これ何故なんでしょうね。折にふれ、考えつづけてみます。
omeros さんの投稿…
コメントありがとうございます。たしかに動詞をハイフンでつないで書くのは面白い現象です。機会を見つけてクレオール語の文法が分かる人に尋ねてみたいと思います。