イグアナの要塞

文化遺産の日である9月19日(土)にようやくサン=ルイ要塞を訪れることができた。この日は各市町村の文化施設を無料で見学できる日で、普段行けない場所なども見学できる。フランス海軍が管理しているサン=ルイ要塞もその一つだ。大学で出会った学生たちと一緒に14時から約1時間ほどガイドの案内を聞きながら要塞を散策。フランス人による入植の初期に作られたこの要塞の歴史は1640年にまで遡る。とくに1674年の提督Ruyterが率いるオランダ軍との攻防はこの要塞の輝かしい歴史であるらしい。わずかな大砲と兵卒のみで強力なオランダ軍を追い払ったということだ。このオランダ軍との戦いから、フォール=ド=フランスの中心の湾はフラマン湾(Baie des Flamands)と呼ばれるようになったそうである。要塞の歴史も面白いものの、おそらく多くの見学者の気を引いたのは、要塞に住んでいるイグアナだろう。大きいものでは全長1、5メートルほどにもなる巨大なトカゲである。「あっ、イグアナ」、「え、どこ、どこ」、「ほら」、「あ、いる!」 どこでも交わされるありふれた会話をとおして、見学者たちは数匹のイグアナを見つける。すると後は撮影会だ。この撮影会に当然ながら参加するものの、愛用するリコーGRデジタルではズーム機能がないためうまく撮れないと判断。もちろん画質を最大限にあげて米粒ほどに写るだろうイグアナをクローズアップするという技もあるが、結局ビデオカメラを撮りだし、それで撮影することに。失敗を繰り返しながらようやくひとまず撮れたのが上記の写真である。なぜイグアナが住んでいるのか。じつは50年代、要塞には一時期動物園であった時期がある。その時期にギュイヤンヌや他のカリブ海の島々から連れてこられた様々な動物たちのうちにイグアナがいたのだった。動物園は短期間に閉園し、動物たちは売られたり、誰かに引き取られたりしたが、イグアナだけはこの場所に残ったとのことだ。動物園の名残、痕跡としてのイグアナ。フランス海軍の占領によって逆説的に要塞内に保護されているとも言えなくもないマルティニックのイグアナであるが、要塞が完全に開放され、いつでも誰でもイグアナと遭遇できるような環境となることがもっとも望ましいと思う。イグアナ公園となる日が待ち遠しい。

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