ケネット

7月の終わりごろからだろうか、緑の小さな実の束を街角や路上で売っている人を見かけるようになった。この実はケネット(quenette)といい、この時期に成る木の実である。薄い皮の下にはマスカットやライチのような味をした実が入っている。おいしいのだが、種が大きく実は少ない。手元の辞書によれば、ケネットはライチの仲間で「貧乏人のライチ」とも呼ばれるそうだ。今日は家のそばのバス停でおじさんがケネットを売っていた。「味見して」とケネットを分けてもらい、その実を食べながらいつまでもやってこないバスを待っていた。その間40分。おじさんが売ったケネットは二束だった。一つはバス停でバスを待つマダムの買い物。車に乗ったマダムがもう一束を買っていた。一束1ユーロ。常夏の島ではいたるところにフルーツや木の実がなっているので、おそらく元手はかかっていない。とはいえ、真夏の昼下がりに2束だけでは商売にならないだろう。どういうことなのだろうか。おじさんの商売のことばかりが気になる今晩であった。

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