エドゥアール・グリッサン通り

1月6日、マルティニック南部の町ディアマンに「エドゥアール・グリッサン通り」ができた。Neg Mawon(「逃亡奴隷」の意のクレオール語)の立像のあるロータリーからディアマンの中学校のあるロータリーへと至る通りにつけられた名前である。普通は故人になってからその偉業を讃える目的で公共施設や通りに名前がつけられるので、こうした事例は珍しい方であるそうだ。ちなみに、マルティニックにはラマンタン市にエドゥアール・グリッサン中学校があるので、これで二つ目ということになる。ぼくは夕方に周りの人に心配されながら乗り合いタクシーで除幕式の現場に駆けつけた。乗り合いタクシーは五時で終了してしまうため、車をもたない人間は事実上帰れないからだ。しかし、車がないことで不自由をするよりはともかく行ってしまおう、行けば何とかなる、というやぶれかぶれの気持ちをいつの間にか身につけていたため、ともかく、帰りの心配をせずに行ったのだった。除幕式までには時間があったので、まずはディアマンの友人の家族の家をたずねて、挨拶をすることに。そして、家族の一人デルフィーヌを誘って一緒に除幕式を見た。最初のネグ・マロンのロータリーの除幕式には可愛らしいマジョレットのバトンのダンスが、そして次のコレージュ・ディアマンのロータリーでは激しいベレのダンスが参加者たちを楽しませた。その後、ディアマンの小さな市庁舎でグリッサンの話を聞いた。とてもリラックスした様子で、ジョークを交えての話だった。しかし、グリッサンの演説中、ぼくは緊張しぱなっしで頭の中は真っ白だった。というのも、その前にグリッサンに挨拶をしたとき、車がないなら、家に泊まっていきなさい、と言われていたからだ。人の好意には甘えてしまう方だが、さすがに大作家の家に泊まるには、こちらの心の準備がいる。そういうわけで、もはやその後は何も考えられずにいた。

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