Victor O

先日、下北沢の一軒のCD屋さんに入った。たいした用事があるわけでもなく、なんとなく眺めていると、ありえない光景に出くわした。マルティニックのアンティーユ書店で何度となく見かけていたVictor Oの新譜が置いてあるではないか。しかも、日本語解説付である。

Revolucion Karibeanaというタイトルを初めて見たとき、ドキッとしたことを憶えている。ちょうどその頃、ゼネストに触発されて緊急出版された、La Revolution antillaiseというタイトルの本もあった。Revolutionが店の文化コーナーをひそかに賑わせていたのだ。

でも、これを訳すと「カリビアン革命」ということになるらしい。ちょっとかっこわるいなー、と思うのだが。

Victor Oは、1968年生まれのマルティニックの歌手だ。商業主義的なZouk路線とは一線を画すのは、たとえばこのアルバムのタイトルからも明らか。だが、硬派な伝統路線というわけではなく(シュリ・カリのような人とは違う)、アコースティックを基調としたマイルドで聴きやすい音楽だ。

ところで、このアルバムにはボーナストラックとして、Eugene Monaの人気曲Ma maman ma dit(マ・ママン・マ・ディ、「かあちゃんががぼくに言った」)のカバー曲が入っている。Monaの精神を引き継ぐ音楽家たちが一時的に結成したLelitaj Monaというグループで、Victor Oが歌ったものだ。これは必聴。

しかし、日本の音楽業界は本当にすごい。マルティニックの往年の人気歌手だったMarius Cultierのアルバムや、周囲の音楽関係の友人だって知らないPierre Maizeroiのアルバムが復刻されているのも、日本なのだ。

ちなみに、ぼくの今のいちおしはマルティニックのValerie LouriとグアドループのSoftだ。耳の肥えた日本のリスナーにも好まれること間違いなしだと思う。次はこの二人を紹介してほしい。

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