第一日曜日

今日こそはゆっくり家で本を読もうと思っていたのだが、お昼過ぎにふと今日は月初めの日曜日であることに気づいてしまった。パリでは第一日曜日の美術館は無料になると聞く。無料の日となれば、有名美術館はいつも以上に長蛇の列と大変な混雑が予想されるので、人ごみを避け、東洋美術のコレクションで知られるギメ美術館に行ってみることにした。

3時前に現地に到着し、待つこと数分で入館できた。常設コレクションを見てみることに。

コレクション一階は、カンボジアの見事な石像の展示で始まった。「クメールの微笑」をたたえた大小さまざまな仏像やレリーフが美しく展示されている。最初はその見事なカンボジア彫刻にみとれるばかりだったが、時間の経過とともに、感動はしだいにうすれていった。ところせましと並べられているの仏像の頭部が、とても悪趣味に思えてきたのだ。

仏像には、頭部しか残されていないものが多い。胴体はいったいどうしたのだろうか?心無い収集家たちが美術的価値のある頭部を持ち去ったのではないか? そんな想像にとらわれた。どういう経緯で、仏像の頭部が飾られているのかは知らないが、これらが信仰の対象ではなく、美術品としてのみ扱われているのは間違いない。どの仏像も、それぞれもといた場所があったはずだ。そしてそこは住民にとって神聖な場所であったはずである。

コレクションは、そんなことを微塵も感じさせない。神々は後光を失い、鑑賞対象の美術品として配置される。

そんなことを考え始めると、美術館を楽しめなくなってしまう。こまったことだ。これでは何のために来たのか分からない。眉間にややしわを寄せながら、インドネシア、ヴェトナム、中国、チベットの「東洋美術」のコレクションを見ていると、インドのガネーシャ像がふと目にとまった。そこには「ガネーシャへ」という小さな紙切れとともにお菓子が供えてあった。

嘘のような話だが、本当のことだ。

帰りはエッフェル搭の下を通ってみた。
おのぼりさん気分はいまだにぬけないようだ。

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