ジャック・シュヴァルツ=バルトの音楽(2)

                       
結論からいうと、ジャック・シュヴァルツ=バルトの新作「Rise above」はなかなかよい。 

今回のアルバムはStephanie Mckay(ステファニー・マッケイ)という歌手との競演。ソウルとジャズとの融合というのが、視聴をした時の印象。洗練させれていてこれはこれですごくかっこいいが、グオカ=ジャズはもうやらないのかと思うと、ちょっと寂しかった。何はともあれ、中古で見つけられたし購入することに。(ちなみに音楽はMP3で聴いているが、いまなおCD派だ。CDの再生機がないため、手間だが、一度MP3に変換して聴いている。そんなことするよりも、直接音源を購入する方が手っ取り早いはずだが、マテリアルが好きなのだ。)

CDに封入されているライナーに今回のアルバム制作の経緯が書かれており、それを読んで、ぼくの懸念が思い込みに過ぎなかったことが判明した。かいつまんで説明すると、こういうことになる。

きっかけは、2000年、ジャックがディアンジェロのヴードゥー・ツアーに参加した話に遡る(ディアンジェロは、R&Bが好きな方にはもはや説明不要なミュージシャン。アメリカ南部出身で、プリンスもその非凡な才能を認める、超大型新人として「ブラウン・シュガー」でデビュー。その後に発表されたのがアルバム「ヴードゥー」だ)。ホーン・セクションを務めていたロイ・ハーグルーヴの代わりに、ジャックはヴードゥー・ツアーに参加。これをきっかけに、ジャックは「ブラザー・ジャック・プロジェクト」なるジャズとソウルをミックスさせた曲を次々書き始めたという。その頃、今回のアルバムで歌を担当するステファニー・マッケイと出遭い、結婚。2001年から、これをニューヨークで演奏し始め、2003年にソロ活動に入ったロイ・ハーグルーヴのグループで、「Forget regret」(今回のアルバムの3曲目)を発表したという。それから、彼はこのグループをやめ、グオカ=ジャズをはじめたという。

つまり、「Rise above」は「ブラザー・ジャック・プロジェクト」時代のものであり、「グオカ=ジャズ」をはじめる前史にあたる。だから、録音は新しいが、ジャック・シュヴァルツ=バルト名義で発表された二枚のアルバム「Sone Ka-la」と「Abyss」の方が、今のジャックの音楽の方向性を表しているということだ。というわけで、ぼくの予想は見事に外れた。常識的な考えを見事に覆された。さすが、ジャックである。

そういうわけで、現在発表されているジャック・シュヴァルツ=バルト名義のアルバムは三枚。どれも特徴があってよいが、やはり一番のお気に入りは「Abyss」だ。マルティニックにいた去年の5月頃、友人ロドルフの家にあった一枚だが、肝心のCDはなく、聴けないのを残念に思っていた。それから、8月に遊びに来てくれたジャズ通の工藤さんがこれを車のなかで聴かせてくれ、すぐに気に入ったのだった。いまとなっては懐かしい思い出。タイトル曲「Abyss」が素晴らしい(今回の「Rise above」でも再演されているので聞き比べてみるとよいかも)。「Sone Ka-la」については、norah-mさんが2010年3月17日の日記で紹介している。

「Rise above」では、同名の2曲目がお勧めだ。ジャック=ディアンジェロの歌声が心地よい。

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