今月下旬発売の『思想』

去年の1月から3月までグアドループ、マルティニック、レユニオンで行われた長期ストライキは、ぼくにとってはちょっとした「事件」だった。何しろその翌月からマルティニック滞在をする予定でいたのだから。ぼくが到着したときには島はもう平穏を取り戻していた。だが、ゼネスト後の不穏な雰囲気はまだ街中に漂っていた。フォール=ド=フランス市街のスーパー「カジノ」は放火で閉店したままだったし、バスの中では運転手への強盗未遂も目撃したこともあった。この場所で起きたことを追想しようとしていたときに、ぼくが手に取ったのがエドゥアール・グリッサンやパトリック・シャモワゾーたちが書いた小さな小冊子だった。難しい文章だったが、グアドループやマルティニックの「今」を伝えると共に、知られざるこれらのフランス海外県の島々が抱える問題を日本で紹介するには、この文章はうってつけだと思った。その後、ご縁があり、『思想』をご紹介いただいた。最初はこの文章の翻訳を掲載するという話だったが、話が膨らみ、ついには特集企画という話にまで発展したのだった。その企画がついに実現し、9月号に掲載される運びになった。特集タイトルはグリッサン等の小冊子の題名にちなみ、「〈高度必需〉とは何か――クレオールの潜勢力」となる予定。一見何のことやら分からない題名だと思うが、彼等の文章を読めば、納得のゆくものであると思う。グリッサンの1981年の大著『アンティーユのディスクール』の部分訳ほか、カリブ海・沖縄・台湾を群島的に結びつける力作評論が揃っている。ぼくもまたマルティニック滞在を活かした論考を準備した。8月25日に発売の予定。お手にとってご覧ください。よろしくお願いします。

コメント

ban さんの投稿…
すごいですね。楽しみです。
omeros さんのコメント…
書店でお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします!