パコへの別れ

先日マルティニックのパーカッション奏者パコ・シャルルリー(Paco Charlery)が亡くなった。享年62歳。日本では無名だが、人口40万の小さな島マルティニックでは親しまれていたミュージシャンの一人だった。

ぼくはパコを何度も見かけたことがあった。マルティニックの小さな都市フォール=ド=フランスの海岸沿いに「クロワジエール」という名前のレストランがある。このレストランは、毎週末にジャズの生演奏が聞ける場所で、地元のミュージシャンはこの店でよく演奏した。友人に誘われてこの店に音楽を聴きに行くとき、よくパコの姿を見かけた。マルティニック人らしい巨体の持ち主だったから、座っている椅子やテーブルが小さく見えた。この人が島で有名なミュージシャンであることは、地元の音楽番組や二枚のアルバムで知っていたものの、彼が友人たちにまじって演奏するのを見ることはなかった。大きな巨体を動かすことなく、ただただ演奏をじっと聞いていた。どこか、寂しげな様子だった。

ある日、ぼくはパコのことをよく知る友人に聞いた。「どうして演奏しないの?」「病気だから。」病名は憶えていないが、脳に病気を患ったらしかった。一般に食べ過ぎてしまうマルティニックでは罹りやすい病気で、そのせいでパコの素晴らしいパーカッションの腕も落ちてしまったという話だった。いまは、リハビリ中なのだろう。いつかまたその凄腕を取り戻すに違いない。そう思って友人の話を聞いていた。

パコの奏でるコンガのリズムを生演奏で体験できなかったのが心残りだ。

でも今は故人の冥福を祈りたい。

パコ、ぼくはきみの音楽のファンだからね、
これからも!


追記

マルティニックの新聞「フランス・アンティーユ」のネット記事からパコ・シャルルリーの演奏をyoutubeでまとめて見ることができます。
http://www.martinique.franceantilles.fr/actualite/culture/disparition-du-musicien-paco-charlery-21-08-2010-83319.php

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