アフリカ美術とは?

カタログを購入してから書こうと思いつつも、カタログが高く、しかも出版されたばかりであるのか、大手書店でもまったく見かけないため、ここは諦めて、先日見た特別展示のことを忘れないうちに書き記しておこうと思う。「アフリカ大美術のオード」と題された展示会が、パリ造幣局で2010年9月9日から10月2日まで開催されていた。開催期間が短く、危うく見逃すところだったが、最近見た展示のなかで一番印象的だった。最初はその内容から、ケブランリー博物館の収蔵物を見るのとそれほど変わらないのではないかと高を括るものの、この展示に附された「彫像もまた死んでいる」という奇妙な副題に惹かれた。「彫像もまた死んでいる」とは、50年代にアラン・レネとクリス・マルケルが撮った30分程度のドキュメンタリー映画のタイトルである。黒人文化の再発見と再評価に情熱を傾けていたアリウーヌ・ディオップ(ジョップ)が創設した出版社「プレザンス・アフリケーヌ」の依頼で作成された映画である。この映画は、知る人ぞ知る問題提起的な映画である。ギリシア・エジプト美術はルーブル美術館に収蔵されているのに、なぜアフリカ美術は人類博物館なのか? これが映画の出発点だ。フランス、イギリス、ベルギーの博物館に収蔵されている黒人彫刻を撮影しながら、撮影される対象が、宗主国によって収奪され、固有の文脈から切り離されて博物館に収蔵されているという奇妙な事実を、このドキュメンタリーは観る者につきつける。(ちなみにこの映画は、フランスの植民地支配を告発・批判する内容を含むことから、映画協会から上映の許可が下りず、映画館での上映を約10年ほど禁じられていた。その間はプレザンス・アフリケーヌの中心でプライベート上映会が行われていた。)今回の特別展は、「彫像もまた死んでいる」に登場する主要な彫刻を展示したものだった。ベルギーの博物館の収蔵物や個人蔵が多かった気がする。映画のなかで登場する様々な像や仮面の実際の形状を知ることができるのは貴重だった。展示物と収集家、展示物と鑑賞者の関係を考えることをうながす好企画であると思う。

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