Edouard Glissant, Fastos

12月も中旬になり、フランスに戻ったその日に起きた盗難事件の痛手からずいぶん立ち直った。パソコンも親切な友人から借してもらい、勉強も手書きから再びパソコンへ。悔しいことの反動なのか、それとも、フランスの冬が寒いからなのか、最近、いつにもまして勉強意欲がましている。幸い、日本からスーツケースに入れて運んできた研究資料は無事だったから、重い思いをして運んできた計6巻になるカリブ海文学史(ハイチをのぞいたフランス語圏の文学)をとにかく読もうと意気込んで、飛ばし飛ばしであるが、なんとか5巻目に辿りついたところだ。

最近ネットで変わった本を見つけた。ぼくが主に研究しているエドゥアール・グリッサンのスペイン語版詩集である。Fastosというスペイン語タイトルは、フランス語のFastes(「年代記」または「豪華絢爛」の意)から。フランス語の詩集は1991年にケベックで出版された。ぼくが見つけたのは、そのスペイン語版で、訳者はキューバの詩人ナンシー・モレホン。1998年にキューバで出版され、限定150部。写真(左)で見るかぎり、かぎりなく手作りに近い本だ。
こうした豪華本は、不安定な身分であるぼくには似つかわしくないし、見つけても、そもそも高すぎて買えないことが多いのだが、この本にかんしては法外な値段ではなく(それでも、55ユーロ、約6000円したから十分高いのだが)、自分の誕生日祝いに買うことにしたのだった。

届いて、びっくりした。写真でわかるとおり、「航海」をテーマにした本で、表紙には砂と段ボールのような材質の紙があしらわれている(だから脆い本でもある)。印刷部分も写真(右)にあるとおり、表紙のデザインを印刷した紙を使用しているという、大変な凝り様だ。

こんな本が存在するとは!  

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