ジャック・マルシャルの「帰郷ノート」

21日13区のテアトル・トレーズにジャック・マルシャルの「帰郷ノート」の朗読を聞きに行った。「詩人たちの春」の一環で行われた。朗読といっても、俳優はあの長編詩を一字一句覚え、解釈を加えながらこの詩の世界を1時間30分あまり表現したのだから、演劇といった方が近いかもしれない。

演劇といえば、日本ではルイ・ソロ・マルティネルさんがセゼールの演劇を上演したことがあった。「クリストフ王の悲劇」と「もう一つのテンペスト」である(後者は日本語でも読める)。「クリストフ王の悲劇」の方は少しだけお手伝いしたときに見たことがある。稽古から舞台衣装まで、一つの公演までに多くの時間を費やすことを考えると、今回見たジャック・マルシャルの「帰郷ノート」のように、マルティネルさんがこの詩を朗読するだけでも、かなり見応えがあるように思えた。

日本では「帰郷ノート」は「植民地主義論」とセットで読まれるためか、ネグリチュード思想や植民地主義批判と独立したところで、すなわち純粋に詩として観賞される傾向が少ない気がする。

マルシャルが「帰郷ノート」の最後の言葉「verrition!」を発してから数秒後、静寂に包まれていた会場は拍手喝采に包まれた。200名以上の観客がいたと思うが、ほぼ総立ちで俳優に惜しみのない敬意と称賛を送った。

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