カリブ海・アフリカ文学のための書誌ブログ

数年前に日本のカリブ海文学研究推進のためにと「クレオール列島」というホームページを作ったものの、その後、なかなか更新に手間取っている。とくに、作家紹介のページや、カリブ海文学の翻訳および研究論文リストはもっと充実させたい。最近、翻訳にしろ、論文にしろ、いくつか更新しなければいけないところなのだが、いかんせん以前のパソコンを盗難で紛失して以来、更新そのものができなくなってしまった(現在、海外在住のため、インストールしていたホームページ作成ソフトを入手できないのである)。近いうちに日本に一時帰国するつもりなのでそのときに問題を解消できればと思っている。

パリで暮らし始めてから一年経った。この間、これまでは名前だけしかしらなかった作家の作品に具体的に触れる機会が多くなってきた。現在、ハイチをのぞいた仏語カリブ海文学全般をめぐる論文を準備していることから、多くの文献に触れてきた。そこで、はじめて知ることもたくさんある。マルティニックにいたときには、島の人がどんな生活をしているのか、そのことを知ること自体が勉強だった。だがいまの勉強はもっぱら書物相手である。テキストであれば、有名な作家のものはいまでも入手できるが、そうした有名な作家のものでも、同じ本が時代によって形を変えて何度も出版されるということがある。それが詩であれば、語句の加筆・修正が生じて、異本としてそれ自体価値をもつわけだが。

たとえば、エメ・セゼール。当ブログでも何度言及してきたかわからない名前だが、この詩人の代表作「帰郷ノート」は原書フランス語版で、1939年、1947年、1956年、1983年と出ている。「植民地主義論」にしたって1950年と1955年では内容が異なる。どうでもいいことのようだが、研究者にはやはり重要だ。フランツ・ファノンが『黒い皮膚・白い仮面』執筆時に見た版は「帰郷ノート」なら1947年のボルダス版(ほかにブレンターノ版がある)であり、「植民地主義論」なら1950年のレクラム版である。「帰郷ノート」なら1950年と1955年にはその時代を反映する大きな加筆があるが、これは50年版の内容を知らなければ意味のない話である。こうしたことは、仏語カリブ海文学という最近始まったばかりの研究では、それほど共有されている知識ではないようだ。とくに日本では大学図書館に入っていない資料も少なくない。

そこで、新たにカリブ海・アフリカ文学のための書誌ブログを作成した。これはパリ滞在中に入手・参照した文献の書影および簡単な書誌情報を掲載するためのブログである。基本的には研究者用となるだろうが、書籍に興味のある方に広く見ていただければ嬉しい。

*書誌ブログは当ブログのリンクBibliothèque du monde africain et antillaisからご覧いただけます。

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