フランス語版『精神の非植民地化』

今年2月にラファブリック社から刊行された本。Ngugi wa Thiong'oのDécoloniser l'espritという本である。アフリカ系の人名についてまだまだ慣れないため、この新刊書が、グギ・ワ・ジオンゴの『精神の非植民地化』であることを気づくのにちょっと時間がかかった。

この本の原書は英語で1986年に出版された。
原題はDecolonising the mind。ケニアの作家で、ある時期から英語は宗主国の言語であるとして、創作はすべて母語であるキクユ語で行い、評論だけは英語で執筆することを決めた。以後、その態度をずっと貫いている。

日本でグギ・ワ・ジオンゴが紹介されたのは比較的早い時期だ。ぼく自身は不勉強でとても紹介できないけれど、小説『一粒の麦』が1981年に刊行され、同年、アフリカ文学研究会編で『民族・歴史・文学』が出版されている。キクユ語で書いた最初の戯曲が反体制的であるとして投獄され、さらにケニアからアメリカ合衆国への亡命を余儀なくされた(現在もケニアに戻ることができないでいる)。

『精神の非植民地化』(宮本正興、楠瀬佳子訳、第三書館)の翻訳は、フランスなどよりもずっと早く、英語出版の翌年1987年に出版されており、去年には新装版が刊行されている。本書は英語への決別の書であるという。言語の政治学を考えるうえで重要な本であるに違いない。

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