Journée d’études : Lire Frantz Fanon aujourd’hui

ファノンをめぐる催し(研究会のようなもの)に参加した。フランソワーズ・ヴェルジェスをはじめとする午前の部を聞いた。ヴェルジェスはフランスの今日の状況が「ポストコロニアル」状況であることを確認し、この状況そのものがファノンを読むことを要請している、という論旨の基調報告をおこなった。フランス植民地主義の歴史がフランスという「国」そのものを構築してきたのだという、断固とした姿勢が印象的であり、フランスの歴史と現在において周縁化される人びとの記憶——これを「サバルタンの記憶」と呼んでいた——を「復権」することに関心を寄せていたようだった。続く発表者(国際哲学コレージュ所属)は、予告していた論旨のおそらく半分も喋れなかったと思うのだが(時間が足りなかった)、「所有の危機」というタイトルに込めた「独立」の問題、植民地の問題を「歴史化」して捉えるフランスにおけるポストコロニアルの傾向、植民地問題の基本は、ファノンが述べるとおり、植民地とは征服者(colonisateur)が作ったのであり、問題は征服者にある、という点に力点を置いた。三人目の発表者は、ファノンにおける暴力の問題について、「暴力の転換」(conversion de la violence)という論点を提出しつつ、暴力を比喩的に捉え、『黒い皮膚、白い仮面』の「仮面」の「破壊」とは「自分自身に対する暴力」ではなかったか、と問うた。この自己への暴力という視点はまたアフリカのフェミニスト理論などにも接合できる実践的視点をもっている、とのことだった。最後に、唐突だが、ボードレールとファノンには「自己からの離脱」(hors-de-soi)にある点で共通する姿勢があるのではないか、と問いかけた。会場は20名強で、必ずしも多くはなかったが、生前のファノンも、セゼールも、サンゴールも、グリッサンも知っている証言者にして、アフリカ・カリブ文学の大御所であるリリアン・ケステロートが参加していた。デクーヴェルト出版で、最近同時刊行されたファノンの著作集とファノンの伝記を手がけた若手の編集者もおり、なかなか実り深い集まりだったが、私自身は歯痛と頭痛で気分が悪くなっていたため、午前の部だけで失礼した。午後の部、とくにファノンと旅の理論をめぐる話を一番聞きたかっただけに残念だった。明日は、日本館で日本と韓国の若手哲学研究者の合同セミナーがおこなわれるらしい。こちらも現在の調子では行けそうもなく残念だ。

コメント

ban さんの投稿…
大丈夫ですか?無理しないで下さい。

最後の方に書かれてある日韓の研究者云々、朝日新聞に、その出席者がなにか書いていたような記憶があります。

ファノンを読むとしたら、何かから読んだらいいですか、教えて下さい。

歯痛、これほど嫌なものはありません。ちゃんと病院に行って下さい。
omeros さんのコメント…
ご心配おかけしています。抗生物質と自宅療養のおかげで、快方に向かっています。

ファノンは『黒い皮膚、白い仮面』と『地に呪われたる者』が代表作です。著作は四つしかありません(うち一つは死後出版の政治論集)。みすず書房刊。『黒い皮膚』は最初の作品で26歳のときに出版したものだと記憶しますが、もともとは「黒人の疎外解放試論」というタイトルがつけられる予定でした。人種差別の問題を、フランス領カリブ海人を事例に論じた本です。『地に呪われたる者』は革命論者としてのファノン像を打ち立てた本で、植民地主義論の古典のひとつといえますが、時代状況に規定される部分も大きいと思われます。ファノンの全容としては、海老坂武の『フランツ・ファノン』(みすす書房)が日本ではいまだに唯一無二の仕事です。