津波の後の第一講


今福龍太・鵜飼哲編『津波の後の第一講』岩波書店、2012年。帯にはこうある。「大震災のあと、新年度最初の授業では何が語られたのか。学びはじめる若者たちへの大学講義をまとめたアンソロジー」。本書は編者をふくめて12人の書き手の12編の「講義」からなっている。全編に目をとおしてから感想を、と思うのだが、そうしていると書かないでおわってしまうかもしれないため、ごく簡単に書きとめておく(といっても内容についてはいまだ言語化できないため、表層だけの感想だ)。

読んだのは早尾貴紀、宮地尚子、林みどり、そして編者である今福龍太、鵜飼哲の講義および「まえがき」と「あとがき」。気づけば個人的な面識のある方の文章を中心に読んでいた。そのなかで著者としてしか知らない早尾氏の講義は、当人が「被災者」であるところからの発言で、とても重い。講義では氏の友人である研究者仲間が氏を迅速にサポートした経緯が語られている。その研究者の友人としてあげられているお名前には偶然こちらが知っている方もいた。言外で、研究と実践との関係を鋭く問われているような気がした。

宮地氏、鵜飼氏の文章では、山内明美の『こども東北学』が引かれている。この本の素晴らしさは方々で聞いているので、いずれ手にとりたい。私のなかでは、宮地氏、鵜飼氏、林氏、そして今福氏の文章は重なり合うところが多い。林氏も鵜飼氏も「震災」に直面した詩人の言葉について繊細に語っている。鵜飼氏の文章からは、授業の光景が浮かび上がる。これはかつて授業を受けていたからという個人的理由もあるが、おそらく語り口にも関係しているだろう。林氏の文章には感銘を受けた。最後に、グリッサンの「震えの思考」を糸口に語る今福氏の「なゐふる思想」。圧巻だった。

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