京都のなかのマルティニック

今週の土曜日は立命館大学言語文化研究所の環カリブ文化研究会に参加するために京都へ。「引揚者文学」の概念を拡張する、というテーマのもと、まず朴先生が「引揚者文学」についてのアウトライン、問題系についてお話くださり、その後ジーン・リースで博士論文を書かれた杉浦さんが森崎和江と比較する発表を、「引揚者」の作家、小林勝を研究しておられる原さんからは、カミュ『異邦人』と絡めた発表が行なわれた。ぼく自身は不勉強で知らないことが多く、いろいろとこの機会に勉強させていただいた。浜さんの小林さんへの問いかけから、「引揚者文学」と「植民者文学」という区分が出てきたところがひとつ、この概念を考えるに当たって興味深いように思えた。また、中川さんがしっかり指摘くださったように、デュラスはこの文脈できっと考えられるにちがいない。

研究会終了後は近くの居酒屋で歓談。とても心地よい雰囲気を味わえた。翌日は京都に住む友人夫妻と一緒に街を散策(というか付き合っていただいた)。すると、京都御苑の道沿いに「カリブサンド」を発見。これは前日大辻さんが話していた噂のサンドイッチ屋だった。変なお店だなと思ってよく見ると、マルティニックの地図と、日本マルティニック友好協会という文字が入口に書いてある。京都らしい食べ物を食べるつもりだったので、ただ覘いてみるつもりだったが、中に入ると、マルティニックからやって来たCDがレジの横に置いてあり(Koloである)、レジの奥やカウンターには、マルティニック産ラム酒が置いてある。太鼓タンブール・ベレがあり、マルティニックの旗まである。これは大変だ。さっそくお店のひと(しほさん)と話し、マルティニック話で盛り上がった。急遽予定を変更し、そのお店でサンドイッチ、ハンバーガー、カレー(コロンボ)を注文。食前酒として、ホワイトラムも注文した。

お店のオーナーはマルティニック人。最初はいなかったが、食事を待っているあいだにやって来た。フランソワさん(名字でなく名前)という。日本語は達者。すぐに打ち解けて、いろいろ話を聞いた。日本にはすでに10年住み、お店を始めたのは3年前。マルティニック友好協会の活動も来日してから地道に行なってきたという。本人も言っていたが、この小さなお店はマルティニックの一部を日本に移植したような空間。食べ物の味付けは、本場というより日本のひとの口にあうようアレンジしたもので、使っている香辛料などはすべて島から持ってきたもの。まさか京都御苑の隣にマルティニックがあるとは! グリッサンなら「バロック」と呼んだかもしれない。

お店の名前を紹介するのを忘れていた。Kreyol Sandと書いて「クレオール・サンド」と読むが、綴り字のクレオール語通りならたぶん「クレヨル・サンド」だ。トロピカルなホームページもある。
http://kreyolsand.jimdo.com/



コメント

Miyako Otsuji さんの投稿…
えー、ずるい! 呼んでくれればいいのに(といいつつ、ダウンしてましたが)。
ともあれ、ここで何かできそうですね。
土曜日は私も勉強になりました。
takayuki nakamura さんのコメント…
すみません、たしかにお電話すればよかったです。新しいお住まいから比較的近いのでしたよね? マルティニックが近所にあるとはすごいことです。今年はカーニヴァルの時期に島に行っていたそうですよ。