グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(近刊)

カリブ海を代表する、クレオール語を母語とし、フランス語で書く詩人にして哲学者エドゥアール・グリッサンの作品の翻訳が久しぶりに刊行されます。今回はグリッサンがウィリアム・フォークナーについて論じた、『フォークナー、ミシシッピ』。グリッサンの後期詩学思想「全-世界」を背景に、フォークナーをアメリカスの時空間のなかで捉え返した、読み応えのある評論です。版元のインスクリプトのホームページで近刊予定として掲載されています。8月16日発売予定。

ちなみにインスクリプトからグリッサン作品の翻訳はあと二つ続く予定です。代表的小説『第四世紀』と、グリッサン思想、カリブ海文化論を語る上で決定的に重要な著作『カリブ海言説』(仮題)です。


追記(8月22日):
『フォークナー、ミシシッピ』は予定どおり8月16日に発売されました。詳細はインスクリプトのホームページでご覧いただけます。解説に書きましたが、本書は、単なる作家の評論ではありません。グリッサンの提唱する「全-世界」という、日本語読者にはまだ馴染みのない、新しいヴィジョンの展開のなかにフォークナーが位置づけられます。「全-世界」というキータームは、すでに恒川先生が訳された『全-世界論』によって、一部の読者には多少馴染みのあるものですが、この概念、このヴィジョンがいったいどういうものであるのか、という点については、まだまだ知られていない。『フォークナー、ミシシッピ』の用語を用いれば「後れて来る啓示」に留まっています。原書の出版は1996年、1997年に出版された『全-世界論』の前年です。

グリッサンの『全-世界論』の翻訳は2000年に出版されました。同年に出版された管啓次郎さんの訳による『〈関係〉の詩学』も、もう絶版の扱いで、アマゾンのマーケットプレイスではやや高額な価格が設定されています。しかし、『〈関係〉の詩学』も『フォークナー、ミシシッピ』の刊行を機に、少部数ながら増刷されると聞いています。インスクリプトの本は、基本的に、写真を港千尋さん、装丁を間村俊一さんが担当しており、その美しい造本には定評があります。『〈関係〉の詩学』も細部にまで凝った美しい書物です。



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