シャモワゾー来日を振り返って

素晴らしい1週間だった。先週の11日に到着して今日18日に帰国と聞いているからちょうど1週間の滞在。この間に対談や講演を4回も務めたのだからきわめて過密なスケジュールだったはずだ。

月曜日(11日)は大江健三郎との対談。1200円の前売りチケットが完売という盛況ぶりで買い逃してしまって悔しい思いをした。聞くところでは、日本ではまだまだ知られているとはいいがたいシャモワゾーをこの対談に参加した多数の聴衆が発見するよい機会であったようだ。シャモワゾー作品に深い敬意を抱く大江健三郎の言葉が印象的な一夜であったようだ。

火曜日(12日)は東大本郷での講演会。進行役は『カリブ海偽典』の訳者・塚本昌則と『テキサコ』の訳者・星埜守之である。ふたりの質問に答えながらグリッサンに多く負う自らの詩学を十二分に語ってくれた、贅沢な会だった。

木曜日(15日)は立命館大学での講演会。質問者は立命館大学のポール・デュムシェルが務め、「カタストロフと正義」のテーマに沿って対談が進行した。火曜日には女優のヤスミナ・オ・ユ・ファがシャモワゾー作品(幼年期三部作の一節と『テキサコ』の一節)を朗読したが、今回は『テキサコ』の火山噴火の場面を、原文をヤスミナが、日本語訳を詩人の関口涼子が交互に朗読する場面が印象的だった。多くの聴衆がここにも詰めかけ、大変充実した会だった。


そして最後が土曜日(17日)。この日は雨で、やや疲れ気味だったのでどうしようかと思いつつも参加することに。対談者は詩人の吉増剛造。『カリブ海偽典』の一部をヤスミナと関口が読んだ後、吉増の詩「絵馬」の朗読。「絵馬」フランス語訳の訳者である関口がフランス語のパートを、吉増の朗読に合わせながら読み始めたところから会場の空気は濃密になったようだった。司会のミカエル・フェリエの質問に答えつつ、この朗読に感銘を受けたようだったシャモワゾーが吉増へのオマージュを捧げると、吉増の方は十日間をかけて読み、さらに二度目の精読に入ったという付箋で覆い尽くされた『カリブ海偽典』を携えて、シャモワゾーへ、言葉に尽くすことなどできないほどのオマージュを捧げた。それだけでこちらは感極まるのだが、最後に今日書き終えたシャモワゾーへの詩の朗読、会場に「お土産」として配布されたそのハンドアウトの写し、吉増の詩から巨大な樹木のようにたち、「口笛の届くような未来」を生み出した、この大作家と大詩人の一夜の邂逅、この奇跡の夜に深い感謝と敬意を!

コメント