カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典


先日、東京堂でおこなわれた『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』の出版記念トークショーに参加した。最近なぜか刊行記念トークショーに何度も足を運んでいる気がする。事典の著者は、鹿島茂氏と倉方健作さん。倉方さんは昨年度からお世話になっている同世代の研究者仲間なのだが、今回はその倉方さんがお話しするということで今回は外せないと思ったのだ。

この本は、言わずと知れた19世紀フランスの古書収集家である文学者・鹿島茂氏のコレクションのひとつLes Hommes d'aujoud'huiの表紙を飾る人物カリカチュアを全紙分(469人分)収録したもの。今回はそのなかの何人かについて二人の専門家が紹介してくれるというものだった。鹿島先生は当然のことであるが、倉方さんも話芸の達人で、話が尽きない。面白い。ヴェルレーヌのような有名詩人から当時は知られていたものの21世紀の今日ではフランスでもまったく忘れ去られたピアニストまで、スライドを交えながらレクチャーしてくれた。

19世紀のフランス文化史をめぐるぜいたくな講義のようだ、と思った。大学の頃、こんなに面白い講義を聞いていれば、ひょっとしたらぼくもまた19世紀フランス文学を勉強していたかもしれない。同世代の研究者である倉方さんの博識と情熱に感動しつつ、ぼくが考えていたのは、フランス文学の面白さと魅力を伝えるこのような試みのうちには、フランス文学受容の再興のためのヒントがあるのではないかということだった。能動的に知りたいと思わせる気持ちを起こさせる出会いや出来事こそが大事だ。そこには創造的な可能性が秘められてると思うのだ。

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