ラ・ボエシ『自発的隷従論』(ちくま学芸文庫)


今月発売のちくま学芸文庫のラインナップの一つに、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの『自発的隷従論』(山上浩嗣訳)がある。著者は、16世紀フランスの書き手で、文学史のなかではモンテーニュの友人として記憶されている人だが、そのラ・ボエシの遺した重要な論考が、今回発売された『自発的隷従論』である。

この論考自体はすでに二度ほど訳されている。しかし、このように文庫判として装いあらたに単独で出版されることで、『自発的隷従論』という作品が、これまでのようにある作品集の一部でない、独立した輝きを放っていることが、よく分かる。

著者が10代後半で書いた論考であるという『自発的隷従論』の特徴は、一者による支配の本質を、支配者に自ら進んで隷従し、その体制を支えようとする「悪徳」にあることを「自発的隷従」という語によって喝破したことにある。その現代性、今日性については、文庫判を監修した西谷修氏の解説「不易の書『自発的隷従論』について」が見事に示している。時宜を得た素晴らしいこの仕事からしっかり学びたい。

目次
自発的隷従論

解題
参考文献

付論
服従と自由についての省察 シモーヌ・ヴェイユ
自由、災難、名づけえぬ存在 ピエール・クラストル
解説 不易の書『自発的隷従論』について 西谷修
訳者あとがき 山上浩嗣


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