スピヴァク『いくつもの声』(人文書院、2014)


人文書院2月の新刊。スピヴァクの日本講演集だ。4つの講演が収められている。こうした講演集の利点は、書き手の発想のエッセンスがわかりやすく読みとれるということにあるだろう。また、2012年11月頃の内容なので、スピヴァク本人の現在の関心を同時代的に共有することができることもありがたい。以下、目次を転写する。

序文(星野俊也)
1 いくつもの声
2 翻訳という問い
3 グローバル化を超える想像力
4 国境のない世界
解説(篠原雅武)

うち1、2および3の翻訳を本橋哲也氏が手がけ、3が篠原氏の訳となる。

話は多岐に渡りながらも結びついている。標題にないトピックで目を惹いたのは、人文学、教育、島、境界、フェミニズムなど。とくに島の話では、マリーズ・コンデにも言及があり、オセアニアをモデルとした群島的な発想がスピヴァクの考えのうちに見出せたのも収穫だった。

次作ではデュボイス、汎アフリカニズムをめぐるものになるというから期待が高まる。デュボイスの著述に読みとれる脱植民化に向けた未来とはどんなものなのだろう。アイデンティティ・ポリティクスを超える立場からポストコロニアルを考えるスピヴァクの、今後の仕事に注目したい。

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