読書あれこれ

プルースト・コロックでもって私の5月のイベントはひとまず終わった。コロックは、何よりもプルーストという作家の吸引力を示すもので、豪華な顔ぶれも功を奏し、80人ほどの来場者が集う盛況ぶりだった。この機会に久しぶりにお会いする先生や新しく知り合いになれた方など、さまざまな交流がもてたことも嬉しかった。また、若手としては、ブルトンとプルーストで発表された齊藤哲也さん、ベケットとプルーストをめぐる武田はるかさんの発表が最初のセッションにあったのだが、どちらも本当にレベルの高いもので、同輩の研究者仲間から良い刺激を受けた。

さて、見聞を広げるための読書の時間もここにきて少しずつ取れるようになってきた(気がする)。小川了『世界の食文化 アフリカ』(農文協、2004)は、授業関連とはいえ、楽しい読書である。アフリカの食文化として著者は興味深いふたつの特徴をあげている。ひとつは、アフリカの食文化は基本的に「噛む」のではなく「呑む」ということ。「主食」は粉状に臼でひかれたり、細かい粒状になっていることが多い。また、一日の栄養源となる昼食は温かい、ないし熱いものを食べるということ。すなわち、冷たいものは昼食とは見なされないそうである。このあたりの特徴を基本軸に、マニオク、フォニオ、バナナ料理などが紹介され、セネガル料理では代表的なチェブ・ジェンが作り方と食べ方ともに詳細に記述されてゆく。アフリカの食文化を知るにあたっての基本書だ。


最近読んだなかで面白かったのは、ほかにもいろいろある。イリイチの『エネルギーと公正』(晶文社、1979)は今のような時代にこそ読み直されてよい本だ。収録されている「創造的失業の権利」は、『カリブ-世界論』で何度も言及したカリブ海の知識人たちのゼネスト擁護の声明文「高度必需品宣言」に通じる。シュルレアリスム25時シリーズのひとつである中田健太郎『ジョルジュ・エナン』(水声社、2013)も興味深く読んだ。このシリーズはどれも面白そうで、しかし、まだ入手できていないものをふくめて、今後読んでゆきたい。遅ればせながら読み始めたネフスキーの『月と不死』(平凡社東洋文庫、1971)は、この列島の文化的古層を探る美しい手がかり。私もネフスキーのように旅人としてこの島々をいま一度まなざしてみたい。ジョルジュ・ペレックの『物の時代』(文遊社、2013)にもこの機会にようやく目を通すことができた。1960年代のフランスをフレンチ・スタディーズのような文化研究的視点から読み解いてみると、さまざまなことが言えるはずだ。膨大な資料体があって大変な領域だろうが、今後、そのあたりの見通しを示してくれる好著が出てくるとありがたいところだ。

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