大野光明『沖縄闘争の時代 1960/70』(人文書院、2014)



人文書院の新刊を紹介します。今年の9月下旬に刊行されてから早くもネット上での書評等で取りあげられて早くも話題を呼んでいる大野光明『沖縄闘争の時代 1960/70』です。本書の冒頭の一行にある次の問いに引き込まれます。

「沖縄問題とは、誰にとっての、どのような問題であるのか」(同書、11頁)

本書は、この問いをめぐり、沖縄の「施政権返還」の年にあたる1972年以前に遡る、1960年代後半から70年代前半までの「沖縄闘争」をさまざまな観点から当時の歴史的・社会的な文脈を通じて丹念に示します。本書の魅力は、これが冒頭の問いに巻き込まれた著者によって、その文を通じて読み手を巻き込もうとする熱意がその語りの隅々に息づいている点だと感じます。「沖縄闘争の時代」を、沖縄を取り巻く国内/国際的構造との関係で示すなかで、米軍基地の黒人兵や第三世界運動とも連繋する闘争の意識について記述する箇所に胸が熱くなりました。以下、目次を出版社ホームページから転載します。


序章
  1 沖縄問題
  2 本書の目的
  3 これまでの研究と本書の課題
    3‐1 沖縄戦後史研究
    3‐2 冷戦史研究
    3‐3 社会運動史研究と社会運動論
  4 本書の方法
  5 本書の構成

第一章 沖縄闘争の時代
  1 戦後という暴力――地政学的分断と冷戦体制
  2 一九五○年代――革新ナショナリズムの共鳴
    2‐1 沖縄の土地闘争
    2‐2 革新ナショナリズムの共鳴
  3 冷戦体制と沖縄問題との相克
    3‐1 六○年安保闘争と冷戦的分断
    3‐2 沖縄返還要求国民大行進がつないだ人々・経験・運動
    3‐3 冷戦体制と復帰運動のせめぎ合い
  4 沖縄闘争の時代
    4‐1 沖縄統治政策の転換
    4‐2 復帰運動からの量的・質的な変化
    4‐3 アリーナとしての沖縄闘争

第二章 ベトナム戦争下の沖縄闘争
        ――ベ平連の嘉手納基地ゲート前抗議行動と渡航制限撤廃闘争
  1 なぜ、どのように沖縄問題に取り組むのか、という問い
  2 ベトナム戦争の時代
    2‐1 ベトナム戦争・日本・沖縄
    2‐2 「わが内なるベトナム」認識の形成
    2‐3 ベトナム反戦運動から沖縄問題へ
  3 米軍嘉手納基地ゲート前抗議行動と渡航制限撤廃闘争
    3‐1 本土からの参加者の逮捕事件
    3‐2 救援活動と身柄の釈放
    3‐3 渡航制限撤廃闘争
  4 共鳴する怒りと立場性をめぐる議論の噴出
    4‐1 連帯への評価、共鳴する怒り
    4‐2 本土/沖縄の二分法の構造へ
    4‐3 立場性をめぐる議論の噴出
  5 沖縄問題という構造を越えて

第三章 大阪のなかの沖縄問題の発見
      ――大阪沖縄連帯の会を事例に
  1 足下の「沖縄」
  2 大阪と沖縄
    2‐1 流民たちの都市
    2‐2 泉州地域と繊維産業
  3 大阪沖縄連帯の会(デイゴの会)
    3‐1 「沖縄を忘れることの出来ないあなたに」
    3‐2 結成総会
    3‐3 活動の概要
  4 「大阪のなかの沖縄問題」の発見
    4‐1 転換点としての七夕フェスティバル
    4‐2 「大阪のなかの沖縄問題」への取り組み
    4‐3 拡張する沖縄闘争
  5 沖縄返還運動から地域社会の変革へ

第四章 復帰運動の破綻と文化的実践による沖縄闘争の持続
      ――竹中労、ルポルタージュ、島唄
  1 沖縄闘争のなかの文化へ
  2 下層社会と芸能ルポ・ライター
  3 ルポルタージュが照射するもの
    3‐1 竹中の足跡
    3‐2 復帰批判のルポルタージュ
  4 島唄論――復帰の「失敗」の創出
    4‐1 プロテストソングとしての島唄
    4‐2 復帰の「失敗」をつくる/生きる
  5 文化「と」政治

第五章 横断する軍事的暴力、越境する運動
      ――沖縄におけるベ平連運動と反戦兵士たち
  1 基地の「撤去」ではなく、軍隊の「解体」
  2 グローバルな反戦・反軍運動と沖縄
    2‐1 米兵の抵抗運動
    2‐2 グローバルな反戦・反軍運動の沖縄への介入
  3 沖縄のなかのベ平連運動
    3‐1 沖縄でベトナム戦争に反対するということ
    3‐2 行き場のない人々とスタイルとしてのベ平連
    3‐3 沖縄ヤングベ平連の「インターナショナリズム」
  4 軍事体制への怒りの共鳴
    4‐1 連携のはじまり――ベ平連のネットワーク
    4‐2 深まる共闘と理解――横断する暴力と怒りの共鳴
  5 越境とコンフリクト――境界線の再生産
  6 ヴァイブレーションと政治

第六章 沖縄闘争と国家の相克
      ――沖縄青年同盟というコンフリクト
  1 震源地
  2 沖縄青年委員会の誕生――復帰運動の内部矛盾からの再出発
  3 沖青委の分裂――対立点の生成
   3‐1 中核派との対立
   3‐2 沖縄闘争論の違いの顕在化
   3‐3 富村順一公判闘争をめぐる対立――政治のとらえかえし
  4 沖縄青年同盟――沖縄国会への異議申し立て
  5 「在日沖縄人」という亀裂――沖縄闘争と国家
    5‐1 批判の声
    5‐2 植民地解放闘争としての沖縄闘争へ

終章
  1 沖縄闘争の力学
  2 復帰のとらえかえし、あるいは政治の創造
  3 沖縄闘争の時代の先へ

あとがき
参考文献
関連年表

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