新著『エドゥアール・グリッサン』のことなど


来月、岩波書店から「岩波現代全書」の一冊として『エドゥアール・グリッサン:〈全-世界〉のヴィジョン』が発売されます。同書店のサイトやamazonでも刊行予告が出始めました。

グリッサンは、いつでも、何度でも、読まれるべき作家だと、私は信じています。私の前を歩いてゆく、素晴らしい先生たち、先輩たちのおかげで、この作家の重要な作品は、これまでに5冊も刊行されています。グリッサンを知る人には、一緒に思い返していただきたいのですが、その5冊とは、翻訳刊行順に以下の作品です。

(1)『〈関係〉の詩学』(インスクリプト)
(2)『全-世界論』(みすず書房)
(3)『レザルド川』(現代企画室)
(4)『多様なるものの詩学序説』(以文社)
(5)『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト)

残念ながら、いま(2)は手に入りにくいようなのですが、拙著では、副題に「〈全-世界〉のヴィジョン」とあるように、「全-世界」という言葉がキーワードになります。(2)はこれまでの5作の翻訳作品のなかでは、とくに難解なのですが、その難解な作品へアプローチできるような文章を書きたいと思いました。

ところで、グリッサンは2011年2月3日に亡くなりました。偶然ですが、拙著の刊行もちょうど2月であり、不思議な因縁を感じています。2011年から数えて、5年目という、いわば節目の年に刊行される予定です。

今年は、グリッサン・イヤーになることを一読者として願っています。一応、翻訳刊行が予定されている作品は、以下となります。

(6)『第4世紀』(インスクリプト)
(7)『カリブ海序説』(インスクリプト)

どちらも、決定的に重要な作品であることは請け合えます。小説なら『第4世紀』ですし(シャモワゾーの読者には強くお薦めできます)、ポストコロニアルの問題を考える上で『カリブ海序説』は、不可欠な参照項となるでしょう。ですが、実は、これだけでありません。詳しくはまだ書けませんが、水声社から、何冊かの翻訳が進行中です。小説が中心の予定。2016年に、どの作品が刊行されるのか、私も楽しみでなりません。

*画像は、グリッサン没後に『アフリキュルチュール』というフランス語による重要なアフリカ系雑誌で組まれたグリッサン特集「グリッサン=世界」の表紙。

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