『立命館言語文化研究』のカリブ海文学特集号


『立命館言語文化研究』29巻4号が刊行されました。今号には「国際言語文化研究所プロジェクトA1研究所重点プログラム「環カリブ地域における言語横断的な文化/文学の研究」の研究報告として、略称「環カリブ研」のメンバーを中心に、代表者の西成彦さんの「まえがき」ほか8本の論文が収録されています。

刊行間もないため電子版のほうは準備中のようです。わたしは、この研究会と科研費の研究として、エドゥアール・グリッサンが刊行した雑誌『アコマ』に取り組んでおり、今回の号では「エドゥアール・グリッサンと『アコマ』(2)」という続き物を書きました。

『アコマ』誌はフランス語で書かれていますので、どうしても読む人が限られてきてしまうのですが、この雑誌は、拙論のなかで強調しているように、「カリブ海性」を誌面において実現しようとする試みだと解釈することができ、そのために、アメリカス(すなわち複数のアメリカ)の意識が非常に強く出ています。ですから、この雑誌のうちに研究会の掲げる「言語横断的な文化/文学」が内包されています。

この雑誌は、その意味で、スペイン語圏のカリブ海文学やラテンアメリカ文学の研究者、また合衆国のブラック・パワーの研究者など、様々な方向に開かれています。私は、カリブ海のフランス語雑誌研究をつうじて、言語横断的な文化の関係性に着目し、通時的な文学史のなかに共時性の視座を導入するつもりで、研究をおこなっています。

本日、マルティニックから、グリッサンの研究者マニュエル・ノルヴァさんから『立命館言語文化研究』が届いたよ、という連絡を受けました。ノルヴァさんがマルティニックで去年発表した原稿「詩が意味するもの」を拙訳で掲載しています。(写真は2012年頃にマルティニックで撮影した、懐かしいもので、海の向こうに見えるのは、たしかラマンタンあたりだったかと思います。)

その他、大辻さん、大野さんがグアドループの作家シモーヌ=シュヴァルツバルトに関する論文を、井上さんがアメリカの黒人作家に関する英語の論文を、久野さんがキューバ作家の英語創作と翻訳について、福島さんがイヴァン・ゴルとセゼールについて、西さんが「アフター『ザ・テンペスト』」と題する論文をそれぞれ掲載しています。

追記
抜刷の残部が手元にありますので、ご興味がある方にはお送りいたします(初回の抜刷はもうありません)。「エドゥアール・グリッサンと『アコマ』」は3回目の論文でもって完結します。こちらは、また別の大学紀要に掲載予定です。

コメント